2012-12-30

書評:採用基準





マッキンゼーの元採用担当の人が書いた「採用基準」というタイトルの本ですが、内容はリーダーシップに関する話です。リーダーシップとは何か?何故必要なのか?どんな人が持つべきか?どう育てていくか?といった点について、マッキンゼーを例にして丁寧に説明してくれています。

Chikirin さんという方が書いた本に共感を覚える方は、是非こちらも読んでみるべきだと思います。Chikirin さんがおちゃらけながら説明してくれていた内容を、極めて真面目に、豊富な例題をもって説明してくれています。

Chikirinの日記
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/

僕は元々 Chikirin さんの主張に興味があったので、同様の主張をより真面目に、かつ、より具体性をもって指摘してくれた本書は、個人的にはとても面白かったです。


2012-12-26

書評:Modern Operating System (3e)




米国留学中にガッツリ読まされた本です。Modern Operating System (3e) は日本語訳がまだなので、もしこれから読むならこちらの方を読んだ方が良いと思います。

本書は、OSの概念から始まり、Process や Filesystem,Memory や I/O などの基本的な機構を一つずつ章分けして解説している本になっています。各章末にある問題は、実際に考えてみるととメチャクチャ面白いので、もしよければ章末問題もやってみると良いと思います。

少し全般的な話になっていまいますが、どうしても邦訳だと変な日本語になってしまいがちだと感じています(英語→日本語の変換がそもそも本質的に難しい作業なのだと感じています)。ただ、実際に原著の方もそんな難しい言葉を使っているかというと、全然そんなことはなくて、かなり丁寧に分かりやすい言葉を(恐らく意図的に)選んで書かれていました。なので、多少英語が苦手でも、こちらの原著を読んで理解した方が、翻訳によるノイズで時間を無駄に割くこともなくなるかな、と個人的には思います。

翻訳された本の全てが悪いとは全く思っていませんが、一方で、やはり専門書の翻訳はかなり厳しいモノがあるなーと、実際に xv6 の翻訳にチャレンジしてみて実感しました。

ご参考になれば幸いです。


書評:デザイニング・インターフェイス(第2版)






僕自身はエンジニアですが、基礎の部分から丁寧に解説されている本なので、デザインについて全く分からないエンジニアでもサクサクと読み進めていけます(というかサクサク読まないと全然読み終わりません)。

第1〜3章ぐらいまでは順々に読むべきだと思いますが、それ以降は各 UI 毎に独立している傾向があるので(完全に独立しているわけでは無いです)、4章以降は好きなところから読んでしまっても大丈夫だと思います。

また、各章は基本的に2つのチャプターに分かれていて、1) 対象となる UI に関する基本的な考え方・使い方を説明するチャプターと、2) その考え方・使い方を使って、実世界の UI 例 (Design Pattern) を分析するチャプターの2つに分かれています。

読了後はライブラリとして使えるので、特にこれから UI を勉強する人については、「UI 設計の基礎力の向上+Design Pattern のライブラリ」として一石二鳥な使い方が出来る本だと思います。

ちなみに、2012年にデザイニング・インターフェイス第2版の勉強会を主催して(※執筆者公認済)、勉強会で使用した資料は全てオンラインで公開してあるので、もしよければこちらもご参考にしてください。

Designing Interface 2e Study Group
http://www.facebook.com/groups/di2e.study/



書評:山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた




次の講演動画を見て、山中先生の具体的な考えに興味が出てきたので購入しました。

「人間万事塞翁が馬」 京都大学iPS細胞研究所所長 山中 伸弥 教授
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=ReKaknHHyTM

本書では、上記の講演において、時間の関係で簡潔にせざるを得なかったところを、より具体的に書かれていています。例えば、米国の人はVisionの形成に優れていて、米国に来るアジア人はWork Hard(VM理論)であるとか、米国のプレゼンの授業では動画を撮ってプレゼンターがいないところで Feedback をする (本人を目の前にすると厳しいことが言いづらいから) とか、PADに対する試行錯誤の道程などが具体的に書かれていて、とても参考になりました。

あと、僕がメモした講演動画の簡単な要約ですが、もしよければこちらも参考まで。
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1. 万事塞翁が馬
2. 9失敗、1成功

国立研究センター 研修医
鬼教官 じゃまなか
整形外科になりたかったがセンスがな
かった
研究に向いてるのでは?
薬理学で大学に入り直す
整形外科で治せない病気を治したい
例 全身麻痺 下半身切断の高校生
今ないクスリの研究開発 薬理学へ
仮説 実験 仮説 実験の繰り返し

始めての実験
仮説は意外な結果に。ワクワクした!
それを研究して博士号を取得

3つの分かったこと:
1. 科学は驚きに満ちている
2. 必ず実験で確かめる
仮説は当たらないことが多い
仮説をいきなりやらない
3. あまり先生/上司のいうことを信じない
疑ってかかる
先入観を持たない
誰だって間違える

薬だけでは限界。遺伝子改変マウスへ。
ポスドク@gladstone研究所
4年くらい
所長 ロバート めいりー
VW理論を教えてもらう
今後の人生を成功させる秘訣
1. vision
長期的な目的をしっかり持つ
2. work hard
一杯働く。

日本人はよく勉強するが、目的を疎かにしすぎ。
自分は何のために生きているのか?
勉強いっぱいやるのも大事だけど、
長期的な目標について考える時間をちゃんと設けよう。
自分は何のために生きているのか?目を背けずに考えよう。

アメリカ人の場合
ビジョンを作るのが得意
ただ、ワークハードが苦手
アジアからワークハードな人材をたくさん呼び入れる

自分の研究の話
オスもメスのマウスが妊娠してる!?
実際は巨大な肝臓 約5倍
肝臓の癌 apobec1は癌遺伝子だった!
いいと思ったもモノがダメなモノだった!
何故アポベク1は肝臓を悪くしたのか?
癌抑制遺伝子だから癌になる?
ノックアウトマウスを作って検証

癌抑制遺伝子はマウスの形状を形なすのに必須 分化多能性
NAT1はES細胞に作用する
NAT1は分化多能性を持っている

家族の都合により日本に帰国
Post America Depression
PADという鬱病になった

PADの原因:
世界で賞賛されるNAT1の研究が日本では理解されない.
研究はワクワクしてたのに、
いつの間にか楽しくなくなった。
逃げ出したくなった。

幸運なニュース。人間のES細胞ができた。
ES細胞を使って医学の役にたつかも!?
日本でも評価が高まり、奈良先端大学院のPIに。
研究室を持つことに。

ワークハードの無駄使いをしないためにビジョンをしっかり持つ!
目標:ES細胞の初期化. ヤケクソ.
皮膚の細胞に四つの遺伝子を加えると
万能細胞ができた。それがiPS細胞。
多くの人に評価される。

ただ、まだ患者を一人も救っていない。
患者を救うのが本質。これからが大事。

まとめ:
研究は忘れてもいい。
全てが順調にはいかないこと。
挫折、家族の他界、PAD

いい事も悪い事も、万事塞翁が馬:
いいときは用心を。
悪いときは希望を。
やって後悔しよう。
失敗は恥ずかしくない。
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2012-12-18

「Google x 琉球大学河野研 x 未踏ユース」公開講座のお知らせ





沖縄の皆さん,

お久しぶりです、@yasulab です。今まで沖縄では、レキサスアカデミーを始めとして、 Okinawa.rb や CoderDojo Okinawa の立ち上げから、ギークハウス沖縄や FabLab Okinawa (こちらは現在準備中) の支援まで色々と活動してきましたが、今度は Google などのIPA未踏ユース関係者をお呼びして、琉球大学で公開講座を開きます。

具体的には、12月20日(木)に、 Google Senior Product Marketing Manager や琉球大学の河野先生、未踏ユースOB/OGおよび現役クリエイターをお呼びして、琉球大学で公開講座を行います。僕も現役クリエイターの一人として自分のプロジェクトについて少しお話しする予定です。もしご都合がつけば、是非こちらからご参加下さい。

「Google x 琉球大学河野研 x 未踏ユース」公開講座
http://www.facebook.com/events/292138687555666/

詳細はこちら。
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                     IPA未踏事業説明会のご案内

  IT分野における技術革新はマイクロソフトやアップル、フェイスブック等の
例のように一部の独創的な突出した才能を有する者より創出されてきており、
我が国の産業競争力強化のためにはこうした突出した人材を発掘・育成する必
要があります。

  経済産業省管轄の独立行政法人情報処理推進機構(IPA)では、ソフトウェア
関連分野の独創的なアイディア・技術やビジネスシーズを有した若い「突出し
たIT人材」を発掘・育成するために、未踏IT人材発掘育成事業(通称:「未踏
事業」)を実施しています。

  この事業の最大の特徴は、産学界の第一線でご活躍の方をプロジェクトマネー
ジャー(PM)としてお願いし、PMの「独自の目利き」で若い突出したIT人材の
発掘・育成を行っている点です。

  本説明会では、下記の通りPMのお一人である藤井彰人氏をはじめとする未踏
事業で輩出したクリエータの方々の講演を行い、未踏事業の魅力を皆様にお伝
えしたいと存じます。

                                  記

日時:2012年12月20日(木) 16:00-20:00

会場:琉球大学工学部1号館5階会議室
  ※ 当日に収容が困難な人数となった場合は変更の可能性があります。

内容:
  ※ 敬称略。時間と順番は目安です。

  16:00-16:15 受付

  16:15-16:20 開会の挨拶

       琉球大学 工学部 情報工学科 准教授 河野真治

       独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
       産学連携推進センター 次長 神島 万喜也(未踏事業責任者)

  16:20-17:00 未踏プロジェクトマネージャー講演

       「未来のクリエーターのみなさんへ」

       藤井 彰人
         グーグル株式会社 エンタープライズ部門
         シニアプロダクトマーケティングマネージャー

       長年にわたる米国IT企業に勤務した経験を踏まえて、今後期待される
       IT分野を簡単に説明するとともに、3年間以上の未踏PM経験から、数名
       のクリエーターの事案を紹介し伸びるクリエーターの共通点などを紹介
       します。

  17:00-17:30 未踏クリエータ講演

       「ourcam: デジタル・フォトグラフィのためのオンサイトプログラミン
         グ環境」

       大島 遼
         2011年度未踏事業クリエータ
         慶応義塾大学SFC研究所 研究員

       2011年度の未踏事業で開発した「ourcam」を紹介します。ourcamはカメ
       ラ機能のプログラミング、および写真とプログラムを紐づけた状態で共
       有することが可能な、iPhone上で動作するカメラアプリケーションです。
       ourcamには以下の3つの大きな特徴があります。
       ・プログラミングできるカメラ
       ・写真とプログラムを紐づけた状態での共有
       ・スマートフォンにおける、直感的なプログラミングインタフェース

  17:30-18:00 未踏クリエータ講演

       「将来の仕事を楽しむために学んでおくべきこと」

       玉城 絵美
         2008年度上期未踏事業クリエータ
         東京大学大学院 総合文化研究科 特任研究員
         H2L株式会社 代表取締役
         2006年琉球大学卒業

       研究、課外活動や未踏を通して学生の間に学んでおいて良かった技術や
       体験して良かったことをお話します。また、現在の活動とともに、学生
       の時に得た技術や体験が実際の仕事にどう活かされているのかも紹介し
       ます。

  18:00-18:15 休憩

  18:15-18:30 2012年度未踏プロジェクト紹介

       「材料の伸縮性を生かした材料加工および曲面造形システムの開発」

       大嶋 泰介
         慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科

       本プロジェクトでは、dukta(ダクタ)と呼ばれる板材をゴムのように
       柔らかくする加工法を用いて、数学的に定義された滑らかな曲線(パラ
       メトリック曲線)をコンピュータ上で設計し、それを元に板材の“曲
       げ”を製造するための設計システムを開発しています。本システムでは、
       設計者がコンピュータ上で描いた(ほぼ)任意の曲線元に、自由な曲げ
       加工を金型なしに瞬時に実現することができます。したがって、ある場
       所の周辺環境に適応した家具やインテリアや特定の個人にカスタマイズ
       されたプロダクトなどを瞬時に誰でも簡単に実現することができます。
       さらに、綾線面(例えば螺旋構造の様な曲面)等の造形も本システムで
       実現し、最終的には従来の手法では実現不可能であった複雑な形態のプ
       ロダクトへ応用可能な設計システムを目指します。

  18:30-18:45 2012年度未踏プロジェクト紹介

       「思いを叶える視覚駆動バケットリストの開発」

       安川 要平、比嘉 正栄
         沖縄在住のフリーランスエンジニア

       本プロジェクトでは、やりたい事リスト(Bucket List)を視覚的に管
       理するウェブサービスを開発しています。具体的には、行きたい場所や
       会いたい人、作りたいモノなどを、画像中心に管理できるようにして、
       自分が本当に「やりたい!(want)」と願っていることを、ワクワクす
       る気持ちで取り組めるようにサポートするウェブサービスです。画像を
       中心にしてBucket Listを管理することで、「やらなくてはいけない」
       といったネガティブなイメージを含ませずに、「やりたい!」というポ
       ジティブな気持ちを後押しすることを目指します。

  18:45-19:00 IPAの事業紹介

       IPA 神島 万喜也

  19:00-      閉会の挨拶、交流

                                                                  以上

==========

読んで頂きありがとうございました。
もしご参加できるのであれば、会場でお会いしましょう。


「Google x 琉球大学河野研 x 未踏ユース」公開講座
http://www.facebook.com/events/292138687555666/